ちょっとしたエピソード

【新連載】空色の王国【第一話】

【第一話】
9月1日木曜日。
北海道石狩地方の天気は晴。北海道の短い夏にも終わりの兆しが見える。
あと一ヶ月もすれば羊蹄山の上のあたりが少しずつ色づき始め、日に日に肌寒くなっていくことだろう。

今日から僕はレンタカーを利用し、列車の写真を撮りながら(いわゆる撮り鉄というやつ)道内を回ることにした。
余談だけど、ときどき「電車の写真撮るのに、車を使うの?」という質問を受けるが、正直浅はかな質問するなぁと毎度のことながら思う。
鉄道写真を撮るのが目的だとしても、その手段として鉄道を使う理由はない。
手段と目的は必ずしも一致するものではないし、公共交通機関だけではなかなか行けないような場所でも、車を使えば何とかなったりする。
まぁただ、鉄道を全く利用することなく鉄道写真を撮るというのは、ちょっと矛盾するかもしれないのは確かだ。
車だけで移動していたのでは、鉄道会社が儲からないのだから。
鉄道会社に貢献することもない。
だから僕の場合、「行程中のどこかで必ず鉄道を利用する」というある種の自己満足というか、言い訳というか、そういったポリシーのもと、“車移動撮り鉄”をするようにしているのだ。

午前中に苫小牧付近で室蘭本線を撮影し、その後石勝線の撮影を切り上げたのは午後3時前であった。
この日の宿泊予定地は帯広のちょっと北の音更町。今いる川端駅からだと、直線距離にして180キロもある。
東海道線で言えば、東京~静岡の距離よりも長く、それも急な山道が続く。
国道を飛ばして3時間以上かかり、気が遠くなる距離だ。

【健一】「あぁ、これから峠越えか。気が滅入るな・・・」

誰が聞くこともない、独り言をつぶやきながら車に乗った。日射に照らされて車内が暑い。
でも、扉や窓を開けているとすぐに虫が入ってくるから、僕はすぐに扉を閉めてカーエアコンを入れた。
砂利道を10分ほど進み、国道274号へ出て走りだす。

北海道の道は広いし、車も少ない。
何よりも市街地を除けば歩行者がほとんどいないため、非常に走りやすいと言える。
それゆえ、調子に乗って速度を出した車による事故は多いと聞くから、それなりに慎重な運転が求められるわけだ。

20分ほど車を走らせると、新夕張の駅付近までたどり着いた。
国道沿いにある道の駅で鉄道駅にも近いが、人はまばらで大半が地元の人の様子。
北海道夕張市は日本で3番目に人口が少ない市で、人口密度は日本で最も低いらしい(wikipedia情報)。
まさに典型的過疎地!

すぐ目の前で石勝線の特急列車が発車していく姿を見送りつつ、食料と飲料の補給。
これから峠越えに2時間はかかると予想されるため、少し多めに買い込む。

【健一】「よし、準備万端!出発進行!」

車を発進させた途端、突然の大雨。
どこから降りだしたのか、思わず疑ってしまうほど。
まさにバケツをひっくり返したような雨とはこのことだろう。
このタイミングの悪さ、まさに僕の人生そのものを表すかのよう。

【健一】「やれやれ」

どっかの宇宙人とか未来人とか出てくるアニメの主人公がよく言うセリフをあえて口に出してみた。
別に他意はない。
国道に出る信号は赤であるが、その国道を走る車の姿は見受けられない。
つかの間の30秒間、雨音に耳を傾けながら物思いにふけ、青信号で発進する。

直後、道に人影が見えた。
ここまで辺鄙なところ(ごめん夕張市)になると、道に人がいるだけで珍しい。
道を歩いている人もほとんどいないと、こうして人間の姿があるだけでひときわ目立つ。
しかもただ棒立ちしている。

【健一】「なんだ?突っ立っちゃって」

少し低速で横を通り過ぎると、指を立てているのが見えた。
無意識のうちにハザードランプをつけて車を停める。
やはり横を通りすぎる車はいない。
するとすぐにその人影が走ってきたので少し窓を開ける。

【??】「すみませんっ!急に止めちゃってっ!あのっ!道東の方目指してるんですけどっ!どちらまで行かれるんですか?もしよろしければ乗せてもらえればと思ってるんです!」

大学生くらいの女の子だろうか?
小柄な体に似つかぬ大きなリュックサックを背負っている。
顔は・・・まぁ可愛いかな。今時珍しい素朴な感じの子。
ていうか一人かよ。
女の一人旅かよ。
親御さんどう説得して来てるんだろう?って大きなお世話か。

【健一】「道東?帯広まででよければ乗せられるけど・・・?」

僕は気が進まなそうに言った。
こういうのには慣れていないから、どういう態度を取っていいのかわからない。

【??】「えっ!帯広まで行っていただけるんですかっ!?是非お願いします!」

はい、元気のいいお返事。助手席に女性一名入ります。
ここから先、石勝越えの鬼門とも呼ばれる日勝峠が待ち構えている。
新夕張駅がある夕張紅葉山地区から楓地区を除けば周辺に集落はほとんどない。
この区間をヒッチハイクとは・・・なかなか思い切ったことをするもんだ。
ちなみにこの日勝峠、峠としては最高レベルに「危ない」と称される部類であり、重大事故も頻繁に起こっている。
道外から来たようなひよっこ運転手がこの峠を越えるという時点でまぁ結構無謀w。

【健一】「どーせ捨てようと思ってるやつだから。このタオル、テキトーに使って」
【??】「あ、はい。ありがとうございます!」
【健一】「ゴメンね、ボロきれみたいなのでw」
【??】「いえいえいえ、全然そんなことないです!」

なんたるいい子。
一応タオルは洗ってあるから大丈夫だと思う。見た目ボロいけど。
さて俺の隣に女子が乗っているわけだが。
それと雨の中突っ立てたせいでびしょ濡れである。
タオルで髪を拭く様子が目に入った。
よく見ると雨に濡れて服が貼り付いて・・・おっぱいが・・・いやいやいかんいかん見ちゃダメだ見ちゃダメだ。
まだ勃ってないよ?変な勘違いしないでよね?
もしちょっと道外れたりしたら、襲いかかることも可能なんじゃないかなんて妄想もしつつ、再び車を走らせる。
僕は紳士という名のチキンであるので。
あー・・・やっぱり三次の女とは会話できんわ。なんかいいにおいするなぁ。
でも気まずいこの空間!!一人だったらアニソン垂れ流して大声で歌いながら運転できるのにっ!!

【??】「あの・・・この辺の方ですか?・・・って言い方はおかしいですよね・・・。道内の方ですか?」

あ、話しかけてきた。このキモヲタに。

【健一】「いや、僕は東京だよ」
【??】「えっ?そうなんですか!わたし、千葉ですw。松戸ってわかります?」

松戸・・・ホットスポットじゃんっ!!と真っ先に思い浮かんだ。

【健一】「松戸なんだ。もちろんわかるよ。北海道旅行してるの?」
【??】「そうです。大学卒業する前に、一度一人で来てみたかったんです」
【健一】「でもヒッチハイクとは・・・。びっくりしたよw」
【??】「自分でも無茶してるなとは思うんですけど、こういうのも若いうちにしかできないと思いまして。」

なるほど大学4年生か。どーせ処女も卒業してるんだろビッチめっ!
澄ました顔してだいたいやることやってるんだこういう女って。
清楚系ビッチがデフォだからね。ちぇ、つまらん奴乗せちゃったわ・・・。

まぁ実際、北海道は意外と女の子の一人旅が多いのも事実。
18きっぷ使ってひたすら列車乗ってる子とかも前に見たことあるし。
それにしてもさっきからなんか妙に緊張してるなぁ・・・。最初あんな元気っぽい感じだったのに。
おそらく僕がそっけない態度取ってるからだろうけど。ていうか僕も緊張してるんだからしょうがないw

【??】「あの。えーと・・・なんて呼べばいいですかね?」
【健一】「『健一』。『草野 健一』です。社ちk・・・じゃなかった。会社員やってます」
【遥香】「わたしは『はるか』です。『篠山 遥香』。一応音大生です。健一さんもご旅行ですか?」

なんか当たり障りの無い会話始めましたよwwwやだなこういうのww
実は結構うれしい・・・なんて口が曲がっても言えません!
ニヤけそうになるのを必死でこらえつつ受け答えする。

【健一】「旅行と言えば旅行だけど、違うと言えばちょっと違うかな。旅行も兼ねて、列車の写真撮って歩いてるから。」
【遥香】「あ、じゃあ鉄ちゃんなんですね!」
【健一】「うん、一般的に言うとそうだね。旅行自体が好きっていうのもあるけど。」

頭に「オウフッwwwwww」のコピペが思い浮かんだ。
そこ普通に肯定しておけよ!何が一般的ーだ俺アホかとw

【遥香】「わたしも鉄道、結構好きですよ。特に田舎の路線とか乗るの。自分が非日常を送っている中、ほとんどの乗客たちは仕事とか学校とか、日常生活を送っているんだと思うとちょっと不思議ですよね。そういう日常と非日常が隣り合わせの感じが心地いいっていうか・・・。」

【健一】「なにそれww日常生活送っている人見て悦に浸ってるってこと?w」
【遥香】「えーwwそんなんじゃないですよーwwたぶん。健一さんはどうして旅行が好きなんです?」
【健一】「んー、現実逃避できるからかな?こう嫌なことがあったり、疲れたりすると、地元を離れてふらふらしたくなる」
【遥香】「あー、それわかりますね!」
【健一】「学生の頃は毎月のように遠出してたけど、今はもうあまり時間がなくて現実逃避する機会は減りました^^」
【遥香】「そっか・・・。わたしも働き始めたらもう旅行にも来られなくなるのかな・・・」
【健一】「いやそんなことないでしょ。1泊2日で北海道来るような人もいるし、僕も現にこうして休み取って北海道来てるし。結局は本人の気持ち次第。最初からダメだと思ってたら何もできないよ」
【遥香】「そうですね。なんだ、結構“いい人”じゃないですか。最初ぶっきらぼうで、絡みづらそうで、どうしようかと思いましたw」
【健一】「ゴメンゴメンww僕、あまのじゃくだからww、あえて最初冷たい態度取っちゃったハハハ」
【遥香】「えぇーwwなんですかそれww」
【健一】「雨の中道路添いで棒立ちしてるんだもん。びっくりしちゃったよ」
【遥香】「急な雨でわたしもびっくりしました。でもこうして乗せてもらえたし、話しやすい人で安心しました」



おぅおぅおぅ・・・これどういう展開よ?
これエロゲ?
今俺エロゲやってる??
たしかにここ2週間全くと言っていいほど「二次元」とイチャラブしてなかったし・・・。
ブログのネタになるだろうと思ってヒナギクの抱き枕カバー2点を持ってきた以外、二次元分はない。
そろそろ禁断症状が出てもおかしくない頃合いかも・・・。
いやいや、車運転中のはずだけど・・・もしかして下半身も運転中とか???────ってねーよwww

僕は悶々としつつもアクセルをさらに踏み込み、車はエンジンを一層唸らせながら登っていく。
あたりは峠道に差し掛かり、緑も深くなってきた。
目の前には帯広 163kmの標識。
まだまだ先は長い。
さっきまで降っていた雨はすっかり止んでいる。



つづく(執筆途中につき次回投稿日未定)
スポンサーサイト
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
訪問者カウンター

統計開始日:2006年11月7日
現在の閲覧者数:
プロフィール

4様ゲッター ◆4sama4.AtQ6J

Author:4様ゲッター ◆4sama4.AtQ6J
細々と大学生活板コテハン(既卒)
【性別】
男の子
【職業】
社畜
【出身地・居住地】
東京都
【趣味】
鉄道,野球観戦,アニメ,ゲーム,漫画,2ch等
【特技】
人を怒らせること,キモがらせること,嫌われること
【好きな声優(表)】
後藤邑子,新谷良子,緑川光
【好きな声優(裏)】
北都南,まきいづみ,あじ秋刀魚
【好きな絵師】
樋上いたる,ほんたにかなえ,七尾奈留,カントク,杉菜水姫,狗神煌
【好きなライター】
麻枝准,奈須きのこ,すかぢ,王雀孫
【好きな歌手】
BUMP OF CHICKEN,倉木麻衣,Mr.Childlen,Lia,Rita,霜月はるか

・複合型のヲタ
・キモブサ
・空気読まない
・千葉ロッテマリーンズファン
メガネ巨乳撲滅委員会会員
ラジオ専用掲示板
・古河渚は俺の嫁
俺の嫁

洋ゲーやってます。
フレンド申請もお待ちしております。

相互リンク随時募集中!
コメ欄なりメールなりに一言書いてもらえれば、翌日にはリンクに追加されるかと思います。たぶん。

・意見、感想、誹謗、中傷、ラブレターなどはメールでどうぞ
4samagetter@gmail.com

リンクフリーです。
↓誰も使わないであろうバナーもあります。


画像などのうp物も使いたいものは勝手に使ってくださって結構です。加工・転載なども含めてご自由にどうぞ。
ただし商用利用は全て禁止です。見つけた場合然るべき措置を取りますのでご注意ください。

↓ヒマなら読むといいよ
 ・鉄っちゃんたちに100の質問
 ・ヲタどもに100の質問
 ・2周年記念自己紹介バトン
 ・本棚あります
 ・パンチラ画像はコチラ

↓無駄に力を入れた妄想小説
空色の王国①
空色の王国②
空色の王国③
空色の王国④
空色の王国⑤(18禁)
空色の王国⑥

ランキングに投票
人気ブログランキングへ
ブログ内検索専用
カレンダー

08 ≪ 2017/09 ≫ 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
月別アーカイブ
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
応援中!
【サクラノ詩】応援中!
amazon
ケータイ厨専用
QR
ブロとも申請フォーム

Page Top
Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ